2006年02月27日

8日目:孤独な闘い

棒のようになってきつつある両足をテーピングで固定し、6時に出発。まだこの自分を責め立てて歩く癖は、どうにも止められない。何故なのか、自分でもよくわからない。ただこれじゃあ本当の意味では旅を楽しみきれないことは確かだと、頭のどこかではわかっている。
どこかで息を抜くべきだろう・・・

自分と葛藤しながら歩いていると、おばさんが私の後ろを着いて歩いてきているのに気付いた。

「おはようございます」


挨拶をすると、ちょこちょこと私の隣で一緒に歩き出した。
頑張って着いてこられているような感じがしたので、私も少しペースを落としてみる。
すごくあったかい雰囲気を持ったそのおばさんは、私よりも背が小さいので目線をなかなか合わせて話すことが出来ないのだけれど、一生懸命私に色んな話をしてくれた。

「タクシーに乗っていてね、調度こんな曇りの天気の日だったんだけれど・・・雲の向こうの方にね、お大師様が見えたのよ。今でもこの辺を歩いてるんじゃないかと思うことがあるわ」


不思議な話だった。


随分長く一緒に歩くな・・・家から遠くなっちゃうんじゃないかな?と思っていると、おばさんが一言


「このトンネルを抜ければ高知です」

「えっ、もう。」


高知入り.jpg


思えばここまで約一週間、慣れないことだらけで戸惑うことも多かった。でも、やったことのないことをするのは怖くても、実際行動にしてみれば出来ないことではないんだということも分かってきた。



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2004年10月18日「お遍路小娘」の日記
タイトル:発心の道場から修行の道場へ

お遍路のまとう物として 白装束、菅傘、杖、があるが
それぞれ死装束、棺桶、墓石を意味すると聞いた。
(杖は弘法大師様ともいうけど)

いつでも死ぬ準備は出来ているという意味だろう。
昔は整備された道も道しるべもなく
弘法大師様を尊敬し敬う人、
口べらしのため家を出され帰る場所を失った人、
不治の病に侵された人などが死ぬまで歩き続けた道。

四国八十八カ所は、世界唯一
終わることのない道と言われているらしい。
ちょっと宗教みたいな話しになってしまうけど
一周するとちょうど円で結ばれ曼陀羅が完成し、
逆打ち(88から1へ打つ)は呪いという噂があるが
本当は順打ち(1から88)よりも困難なため
達成すれば3倍の効果があると言われている。
実際車で逆打ちしている夫婦をよく見かける。

(本を読んだり、道中人から聞いた話ですので
間違いありましたらご指摘下さい)

この環状線のような、かつて更に過酷だった道を私も歩いている。

今は整備され、道しるべがあり、距離がわかり、泊まる宿がある。
幸せだと思う。

この道をただ次の寺へ進むノルマとしてでなく、
もっと自分に近づけていきたい。

発心の道場徳島、ありがとうございました。
この一週間で、結願出来るまで頑張ろうと心に誓いました。

今から修行の道場高知に入ります。
posted by いとうあゆみ at 06:51 | 徳島 63648 | Comment(4) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場
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「きっと高知も中盤辺りになってくれば、ひとりで歩いてるんじゃないっていうことが実感出来てくると思うわ。あなたの傍にはいつもお大師様が居るように、感じてくると思う」

一言一言大切に確かめるように、そんなことを言っていた。

おばさんのその優しい声に、これから修行の道場と呼ばれる高知へ入る私の背中を、ポンと押してもらったような気がした。

「写真を撮ってあげましょうね」
おばさんは私の写真を撮ると、
「そのうち送りますね」
と言い今来た道をまた徳島の方へ戻って行った。




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お疲れさま〜。徳島制覇おめでとう!あゆみちゃんの言葉が毎日ダラダラすごしてる自分にすごくしみます。私もがんばんなきゃーと元気をもらってる感じです。天候に恵まれますように。がんばって!
Posted by しば at 2004年10月17日 21:58
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あの室戸岬へ向かって進む。おばさんとさよならした後、朝から曇ってはいたけれど次第に天気は悪くなり、確実に台風が近付いてきているのが感じられてきた。
目の前は一面灰色となり、不穏な空気が漂い始める。いつもは青々として透き通り綺麗な海も、荒れて波が高くなりつつある。とても不気味な1日だった。
それでも私は昨日と同じ時速6kmのペースで歩き、ひたすら24番札所最御崎寺を目指す。もしも明日台風が上陸するのなら、山寺である最御崎寺は今日のうちに打っておかなければ明後日何も出来なくなってしまう。

そんな思いで、ペースばかりを落とすことになる休憩はほとんど取らずに歩き続けた。少しずつ表示されたkm数が減っていく道標を心の糧にして進む。
ちょっとでもペースが落ちて次の道標が見えるのが遅くなると、自分を叱った。

おおしけ.jpg
左手に見え続ける太平洋はずっと荒れていた


そんな風に、躍起になって距離を稼いでいると、室戸岬に差し掛かる手前に真っ白で巨大な石像が見えてきた。

空がどんよりとした灰色というのもあってそれはすごく目立った。
地図で確認してみると、若い頃のお大師様、青年大師像だった。周りに人は一人も居なく、強風の中私はその巨大な像と一対一で向き合った。

ゴーゴーという風の音と共に、台風の迫り来る恐怖を感じつつ、真っ白い像を見つめた。

なんだか、ものすごく怖く見えたのは気のせいだったか。

私はしばらく、ひれ伏す思いでその像に見入っていた。



お大師様.jpg



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2004年10月18日 タイトル:高知初日
台風が近づいているしけた海沿いを45キロ位歩いて24番を打った。
一日中風が強く、薄暗く不気味な日だった。
本当は高知はゆっくり、と考えていたが明日初めての台風で
予想外の足止めを食らった場合のことを考え、
進めるだけ進んだ。

岬なので風が強烈。明日どうしよう・・・
posted by いとうあゆみ at 17:37 | 徳島 63647 | Comment(0) | TrackBack(0) | 高知:修行の道場
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足の痛みと疲労と悪天候・・

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posted by いとうあゆみ at 01:51| Comment(18) | TrackBack(0) | おわりに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月21日

心配(一時的な記事です)

ここ最近、ブログの調子が悪く「メンテナンス中」の表示が長く出ていました。
今でも環境によってはそのままのところもあるらしいのですが・・・
もしよければ「見れるようになったよ」コメントがあると安心します。
この記事は一時的に設けた後、消してしまうのですが
どなたかよろしければ、書き込みお願い致します。。
posted by いとうあゆみ at 02:04| Comment(6) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月14日

7日目:繋がる縁2

歩くしかやることは無いので、黙々と進むのだが、それにしても足が危険なレベルに達している。もう自分の足では無いみたいに硬い。
パンパンに張っているし、休憩なんてしたら立ち上がるのに大分時間を要する。しかも今度はちょっと力を入れるとふくらはぎがつるようになってしまった。
けれど不思議なことに前へ進む足は止まらない。それどころか、どんどん加速していくのだ。まるで自分の意思で動いているのではないように思える。

海沿い.jpg
ひた進む海沿い


昼過ぎ、目的とする宿のある宍喰まであと20km近くといったところだっただろうか、牟岐警察署にある無料接待所の前を通りかかった。そこに居たおばさんがわざわざ反対車線のこちら側まで渡って来て
「休んでいきませんか」と言う。
正直休憩しているヒマは無いんじゃないかとは思ったのだが、その親切に応えたくなり休むことにした。
簡易テントの張ってあるその休憩所には、5人くらいのおじさんおばさんが居て、色々と私に話しかけてくる。

「今日はどこまで行く予定なの」
「宍喰の宿です」
「ええ〜今からあそこまで行くのかい」
「あんた一時間に何kmくらい歩けるんだい」
「わからないけど・・・4km位かな」
「じゃあ着くのが遅くなるね、電話を入れておきなさい」
「そういえば、あそこはご飯が美味しいんだよね」
「そうそう、仕出しもしてるからねぇ・・・」


のん気な会話の中に「ちょっと今からあそこまでなんて、やばいんじゃない」という心配そうな声が聞こえ、やっぱり着くのが遅くなるか・・・と精神的な疲労が顔を出す。今でも結構疲れてるのに大丈夫かな?ちょっと心配になり、一応宿には少し遅くなるかもしれないと電話を入れ再び出発する。


ふと、自分が一時間に何km歩いているのかも気になりだしてきたので1kmごと表れる道標を目印に時速を計ってみることにした。
始めのうちは休憩後ということもあって15分に1km位だったのが、「もっと早く歩けるかも・・・」と思ううちペースアップしていく。
そして後半はずっと10分に1kmのペースになっていた。頑張れば時速6kmで歩けるということがわかった。当初2.6kmだったのと比べれば、相当な頑張りだ。


その間、他のお遍路さんとは一人も会わず、ほぼ無心の歩きだったと思う。
競争相手も居ないのに、次に現れる道標を心待ちにし前だけを見つめ歩く。
喉が渇いたらリュックのポケットに手を伸ばしペットボトルのアクエリアスを口にし、また元の位置へ戻す。
10月も後半だというのに気温が上昇し太陽がアスファルトに照り付けまぶしかったので、歩きながら日焼け止めも何度か塗った。それにしても室戸まで、1kmずつ確実に進んでいるとは言え一向に近付いている気がしない。

薬王寺を打ち終えしばらくすると国道一本道に入り、すれ違うのは車ばかりでコミュニケーションが全く無いと思っていたが、それは違った。
歩道の無いところなど仕方なく道の端っこを歩くのだが、するとそこを通る車は必ずと言って良いほど大回りをして避けて通ってくれる。
「危ないよ」という意味ではなく、挨拶代わりと思われる軽いクラクションを鳴らしてくれる車もある。なんとなくそういうちょっとしたことだけで心救われる思いだった。



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なんだかみるたんびにあたしも行ってる気になってきて(足腫らしはしてないし、むしろ運動不足過ぎな私だけど)なんだかこう・・熱く込み上げるものがるものがある!やっぱ自分の足で歩き進み、その速度で見る景色は、肌が感じる空気は、出会う人の存在が、体が欲してる時の誰かが作ってくれたご飯は、特別なんだろうなと思う。あ”〜いいっ!味わえ笑え十分頑張ってると思うががんばり〜!
Posted by とまと at 2004年10月17日 23:18
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意外と早いペースで歩けたため宿には日没前に到着。
足は、もう終わりを予感させるような状態だった。
靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて宿を歩くのだがもう階段がつらくてかなわない。
ちっともまっすぐ歩けないのだ。足の裏がひどく痛み、ふくらはぎは棒にしか感じられない。
一旦宿に入ってしまえば、トイレまで歩くのさえつらいこんな足なのに、あんなに歩けるのは何故なのか。
でも正直、不安だ。室戸までまだ先は長い。

しかしここは24時間温泉に入れるというので頑張って歩いた宿でもあった。
ご飯も美味しく、宿のおかみさんも優しかった。しかもおかみさんの娘さんが住んでいるところは横浜の東横線沿いだというので、どこかと尋ねてみると、なんと私が数ヶ月前まで住んでいたところと、同じ駅だった!
大きな駅ではない、むしろ東横線の住人にすら駅名を言っても知らない人が居るくらいなのに。
縁は本当にどこで繋がっているかわからなくて、面白い。

大好きな温泉で充電をして、ひとり脱衣所で涼む。
しかし私はここで久々の失態をしてしまう。天井近くに設置されている扇風機が上を向いていてあまり涼しくならないので、紐を引き位置を変えようとしたら何と扇風機の首が折れ、ガコンと傾き落ちてきてしまったのだ。
壁に設置してあるスイッチ部分と本体の丸い羽部分は、数本のコードでかろうじて繋がってはいるが、首の部分は完全に割れ、折れ曲って悲しい具合にぶら下がっている。
どうにかなるかな・・・とかすかな希望を胸に元の位置へ戻そうとしてみるがダメだ。そんなの、どうにかなるかななんて考える必要も無い位、完全に折れている。重力には逆らえまい。明らかにどうにもならない。

涼みたくて紐を引いただなのに、一体この扇風機に何が起こったのか。
遍路で足の筋肉ではなく腕の筋肉がつきこんなことに?
理解に苦しみ、素っ裸のまま壊れた扇風機を見つめていたら全身から冷や汗が噴き出してきた。
これで「涼む」という目的は達成されたものの、ただでは済まされないのは一目瞭然だ。

ふと一瞬悪魔の心が私に囁きかける。
「誰も居ないじゃん、知らないフリしちゃえよ・・・」
否!私はお遍路中の身、ウソなんてついたら絶対にバチが当たる、そんな気がした。意を決して正直に宿のおかみさんのところへ謝りに行った。

「お忙しいところすいません・・・あの、私・・お風呂の扇風機、壊しちゃったんですけど!!」
ああ〜弁償だ、怒られる〜〜・・・びくびくしながらそう告げると、おかみさんから返ってきた答えは意外なものだった。
「うん、いいですよ」
しかもなんと穏やかな笑顔。菩薩様ですかあなたは。
あまりの優しい対応に驚き、
「いえ!弁償します!すごい壊れ方なので、もう絶対直らないと思いますから!」
そう言うと、
「あら・・・でも大丈夫ですよ、大丈夫」おかみさんは笑顔を崩さない。そして
「あなた、ちょっと見てきてくれる」
と旦那さんを呼び出した。私は脱衣所に戻り
「いやぁ・・・これを見たら絶対あんな笑顔なんて出てこないはずだ。もう二度とあの笑顔に会うことは出来ない・・・悲しい」そう確信しながら旦那さんを待つ。
間もなく脱衣所に旦那さんが現れ、そのものすごい壊れ方をしている扇風機を見た。
絶対に怒ると思っておどおどと旦那さんを見ると、さほど驚いた様子も見せず
「ああ、こりゃもう寿命だったんだなぁ」とつぶやいた。
「前も男湯でこういう壊れ方したんだよ。首の部分がモロくなってたんだ。随分長く設置してたからな。まぁ、気にすんなっ、後で取っとくから。はは!」
ポンっと肩を叩きそのまま旦那さんは出て行ってしまった。壊れた扇風機をそのままにして・・・。

この騒動ですっかり疲れてしまった私は、ちょっと落ち着こうと思いもう一度温泉で汗を流した。

その後明日も朝食をキャンセルすることを告げ、夜のうちお会計をすると、旦那さんがペットボトルのお茶を下さった。

「えーとそうだなこれは、そうそう、お接待。うん」
と渡してくれた。この宿の売りである温泉の、それに入浴した後に皆を涼ませ癒す、いわばオアシス的存在の扇風機をあんな風に破壊した私に対し、お接待までして下さるなんて。
優しい笑顔と寛大な心に涙が出そうなくらい感激した。扇風機代を差し引きしたら、この日の宿代なんてほぼパァみたいなものなのに。正直に謝って良かった。知らないフリなんてしなくて良かった、そんなことしてたらきっと自分を嫌いになってしまっただろう。


問題となった扇風機
せんぷうき.jpg







部屋に戻り日記を更新していると友人からメールが入った。

「台風が近付いてるよ」


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>しょうこさん
初めまして、来てくれてすごくうれしいです!私は普段は結構ひきこもりなのでよく行動派と言われますがピンときません。いつかお話出来たらいいですね、書き込みドシドシお待ちしてます。
ピンチの時は四国のこと教えて下さいね。
お遍路ぜひ挑戦してみて下さい。大変だけど感動と充実の日々ですよ。
そして足は膨れ上がります。
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>とまと
普段だったら絶対安静にしたい位の足の痛みを抱えながら
時計とにらめっこして歩き続け、上りきった山から眺める景色、ふと立ち止まった時気付く心地良い風、
すれ違う車が大回りして行く際の、挨拶代わりのクラクション。
全てが初めての経験。地球一周していた頃よりも自分というものを深く知れそうだよ。
歩く、食べる、寝る。シンプルな生活だから何が原因でそうなるかが分かりやすいです。
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こっからが本番!クリックお願いします。


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posted by いとうあゆみ at 01:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月10日

7日目:繋がる縁

予定通り早くに起きた私は、まだ痛む足をテーピングでごまかし出発。早朝の海は穏かで、まぶしくなく、歩くにはもってこいだった。


朝の海2.jpg


宿を出発した後、23番札所薬王寺へ向かう途中道に迷い
完全に遍路道マークを見失う。不安になりうろちょろしていると、遠くで犬がこちらをじっと見ているのに気付いた。
野良犬か・・・?ずっとこちらの様子を伺っているので、何となく近付いてみると、犬は前へと進み出した。
そのまま着いていくと、なんとそこは薬王寺だった!ありがとう、犬。

そういえばお遍路犬なるものが遍路道には生息しているらしい。あの犬がそうだったかは定かではないが、昔お遍路さんと一緒に四国霊場を周っていた犬が、その飼い主が亡くなってからも周り続けているという話を聞いた。忠犬ハチ公みたいな切なくなる話ではあるが、1000年以上昔から続くこの道には、きっとそんなエピソードが沢山あることだろう。

親切な犬に案内され無事到着したところで、薬王寺を参拝する。高台にあるお寺で、景色がよく綺麗なところだった。
これで徳島の札所全てを周ったことになったが、高知初めの24番札所最御崎寺までは、ここからなんと80km以上もある。当然この日のうちに打つことは不可能なため、少しでも24番に近付こうとひたすら歩くことに専念する。

これから何日かは、県道55線をずっと歩いていくことになる。
そのまっすぐの道のりを何も考えず歩き続けていたら、聞き覚えのあるのん気な声が聞こえた。



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2004年10月17日 blog「お遍路小娘」の日記
タイトル:縁
dontsuku-2004-10-17T17_44_30-1.jpg

二日前私を追い越していったお遍路さんに遭遇。
トラさんという。
目的地が皆同じとはいえ不思議な縁を感じた。
トラさんと一緒に居たおじいさんは、
死ぬまでお遍路をし続けると言っていた。

23番に行く途中お遍路犬みたいな犬に遭遇した。
時々迷った人を寺に案内する犬が居るらしい。

今日は暑く、地図を見る限り海沿いと思っていたのに
実際はほとんど山を切り開いた国道。
越えても越えてもアスファルトの坂が続く。
アスファルトの堅さで足へのダメージが大きい。
昨日山をいくつも越えたせいで太股ふくらはぎが激しい筋肉痛。
立ち止まるとふくらはぎがつるので休みにくい。
そのため、水分補給は歩きながらにした。

太陽が地面を照りつけるのでまぶしいし、顔が痛い。
日中25度になったため、実際道路があったまりかなり暑かった。
頻繁にのどが乾くがあまり自販がないので
かなり困ったこともあった。

昨日の後半はまた14歳の男の子と
宿が同じだったため一緒に歩いたが、今日は完全にひとり。

足の痛みに何度声をあげただろう。
道しるべを見失いどれ程時間をロスしただろう。

日没までには宿につかなくてはいけないと思い
10分1キロのペースで歩いた。

思うように洗濯出来ないため途中で少し買った衣類のおかげで、
また荷物が重い・・・

ちなみに23番から次の札所24番までは約83キロ。
今日はその中間よりやや23番寄りの宿だが
明日中には24番を打てないだろうと思うので、手前の宿に決めた。
足が上がるようにさえなればなんとかなりそうな気はするが、
道に迷ってしまったらおそらくアウトだろう。

昨日出会った先達の資格のためお遍路をしている人に
焦っても何も見えてこないよと言われた。
確かにそうなのかもしれない。
日々広がる自分の限界を過信しすぎているかも。
あと少しと思うと、不思議と動く足が欲張りにさせる。

高知に入ったらもう少し周りのことも見てみようと思う。

徳島を発心の道場、高知を修行の道場、
愛媛を菩提の道場、香川を涅槃の道場という。

まだまだ旅は始まったばかり。
よく寺に着くと
「歩きですか?気をつけて。そして、楽しんで」
と声をかけられる。

毎日自分の限界まで歩けば、確かに早く周れるけれど
それに何の意味があるのか?
無理して足元ばかり見つめて歩いても、
この綺麗な景色を無視してしまってはもったいない。

何をしに、目的は?と聞かれても即答出来ない。

でもここに来るべきだったのだと思う。
このつらさはちょっと言葉にしづらいけど
今の自分のためにある旅だと確信した。

そして今日で徳島の全ての寺を打ち終わった。

明日から高知です。
posted by いとうあゆみ at 17:44 | 徳島 63648 | Comment(1) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場
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「お〜〜い」
国道沿いの食堂の前に、あの青甚平さんが立って手を振っていたのだ!!焼山寺を越えた後、私が宿へ入ってから先へ進むと言って別れて以来の再会。まさか追いつくと思っていなかったのでとても驚いた。
朝食がまだで調度お腹が空いていた時だったのでそのまま案内されて店内へ入る。

「自転車遍路のおじいさんと会ってね、この店で朝からずっと飲んでるんだよ」
「えっ飲んでるの!」

店内の窓から偶然私を見つけてもしかして、と思い声をかけたのだと言う。まだ午前中の10時という中途半端な時間帯だったので、お客さんは青甚平さんと、あとは白髭をもっさりと生やし、完全に出来上がった状態の自転車遍路のおじいさんだけだった。

「どうもはじめまして・・・。お邪魔します」
会釈をして青甚平さんの隣の席へ着く。

「ああ〜。よしよし、よく来たね。何か注文するといい」
と、おじいさん。
「あ、じゃあうどんお願いします」

おじいさんの席には既に空のビール瓶が何本かあり、もうかなり飲んでいたことが伺えた。青甚平さんはおじいさんと向かい合ってずっと話を聞いていたという。

「あんたら、初めて会ったんかい」
おじいさんは私に訪ねてきた。青甚平さんとのことだと思ったので
「いえ、何度かすれ違ったりしていたんですけど・・ここ何日かぶりに今、再会したんです」そう答えるとおじいさんは
「ほぉぉ〜〜〜〜〜・・・そりゃ、縁があったんじゃの。もう、友達じゃの」
と言った。
「えっと・・」
私が答えに迷っていると、

「はい、遍路友達です」
彼はまだ私の名前も知らないはずなのに、はっきりとそう答えた。

「あんた、名前はなんと言う」
「あゆみです」
「・・・あ。」
青甚平さんがそうなんだ、という表情でこちらを向いた。

「あ、そういえばあなたは」
私もずっと聞きたかったことを思い出し尋ねる。
「トラさんて呼んで」

私たちはここでようやく、知り合って6日目にしてお互いの名前を知ったのだった。

「あゆぴょんて呼ぶね。」
「・・・やめてください」

彼とはこのお遍路中、何度も不思議な再会を繰り返すこととなる。


続く道.jpg


しばらくその食堂で語らった後、2人はまだそこに居るとのことで、私は再び室戸へ続くまっすぐの道へ舞い戻った。
室戸まで80kmとかいう道標が見えてる。気の遠くなるような道のりだ。




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初めまして。アケビの彼女のしょうこです。今彼氏の携帯にコレ見つけて全部読ませていただきました。こんな行動的な人な人ゎ生まれてまだ二人目やけんビックリした!思ったより順調にいってるみたいで安心しました(*∩_∩*)香川や徳島でなんか分からない事とかあったら私でよかったらなんでも聞いて下さい。私分からん事もいっぱいあると思うけど・・・
あんなぁ、私もおばぁちゃんになったら遍路しようと思ってるんょ。
やけん頑張ってな!ッテ意味分からなくなってきた・・・スイマセン
今足がパンパンやと思うけど夜ゎしっかり休んで頑張って下さい!
いきなり書き込みしてスイマセンでした。
またドシA勝手に入れますんで・・
今日も一日頑張れぇぇ(o^□^o)ノ63674〃

Posted by しょうこ at 2004年10月17日 10:47
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トラさん 今頃何してるんだろ。↓クリックよろしく♪


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posted by いとうあゆみ at 01:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

6日目:根性を試す根性

少年Hより少し早めに私は宿を出発した。
左足は相変わらず痛むが、今日も天気が良さそうなので気持ちよく歩けそうだ。
しかし20番札所鶴林寺へ向かう道はしょっぱなから上り坂。
ここも遍路ころがしと呼ばれているため、一応心構えはしておいたが、焼山寺ほどのつらさは感じられなかった。
ただ距離は短くとも急な坂だったので、のぼりでは何度も休憩を取った。

水場.jpg


その後21番札所大龍寺にて少年Hと再会。
このお寺は大変大きく、あちこちに見所がある。大きな木々に囲まれていてとても美しい。
標高もあるためロープウェイで上り下りも出来るようになっていて、観光客も多い。
せっかっく来たのだから、と二人でロープウェイで往復して観光客の気分を味わった。その後また足で山を下った。
束の間の観光客気分だった。

納経所のねこ.jpg
納経所で日向ぼっこしていた猫




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2004年10月16日 blog「お遍路小娘」の日記
タイトル:新手のナンパ

おさめふだ.jpg

そういえば修行中の人に
納札の裏にメアド書いて渡されました。
(写真参照。寺に納める名札みたいなものです)

和風のナンパですな!

posted by いとうあゆみ at 22:35 | 徳島 63648 | Comment(5) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場
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この日も少年Hと同じ宿を取ったので、最後の寺で彼を待つ。
一緒に歩くとペースが乱れると思い、お互いほぼ暗黙の了解で別々に歩いていたのだ。
程なく彼が現れ納経も終えたので、少し休憩して出発しようとしたら、門前でお経をあげていた坊主のお遍路さんが軽い調子で近寄ってきたかと思うと、すれ違いざまに納札を渡してきたので、私はとりあえずそれを受け取ってそのまま寺を後にした。
後で見てみたらなんとその裏には電話番号とメールアドレスが走り書きされていたのだが、彼は一体私にどうして欲しかったのだろうか。一方的にアドレスなんて教えられても・・・こうやって納札を渡して返事が返ってきたらアタリ!とかいう新しいナンパ法か何かなんだろうか。

お遍路さんは知り合った人同士、納札交換というのをするらしいのだが、この時の私はそれを知らなかったし、交換しようもと言われなかったのでそんなことを考えてしまった。
とにかく、宿まで歩くことが先決だったのでとりあえずそのままに。目的の宿はここから20kmほど離れた由岐町。

もう14時も過ぎていたので、単純計算をすると結構遅くチェックインすることになる。あまり遅く着くと宿の人に心配をかけてしまうので、急ぎ足で歩いた。



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2004年10月16日 blog「お遍路小娘」の日記
タイトル:山で日没

日没の様.jpg

やってしまいました!
計算ミスです。

山で日没、まっくら、何も見えず不安。
かなりやばかった、暗いと、道が見えない・・・
進むべき場所がわからなかった。

宿に一時間以上も遅れて着きました。

5時45分から19時まで歩いてました。

朝昼店が無くきちんと食べていなかったので
夕食が美味すぎでした。

でも明日は最長距離歩きます。

雨が来る前にせめて徳島を越えたい!

これだけ歩いても、体力にはまだ余裕あり。
行けるはず、
いや、越えます。

早く起きなきゃいけないので
レスは明日します、ごめんなさいm(_ _)m

いつも皆の書き込みやメールに励まされてます、
毎日、出発前に読んで目を覚ましてます。

だから、本当にありがとう!

皆が居るから、歩けてます。
posted by いとうあゆみ at 21:26 | 徳島 63648 | Comment(2) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場
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そして案の定、宿へ向かう途中に日没してしまった。
しかも山の中。

少年Hのヘッドライトが無ければ、心細く宿に着くのは困難だっただろう。
由岐町へ出るための山の車道を下り続け、やっと町の明かりが見えてきてほっとしたのも束の間、下った後も宿までは長い距離があったのだ。
チェックイン時の私達はまさに疲労困憊。

言葉数少なく、もう左足だけでなく、体全体が完全にバテつつあった。でもどうしても距離を進めたい私は明日の朝食をキャンセルし、少年Hより1時間以上早く出発することを心に決めた。歩こうと思えば歩けたからだ。

しかし少年Hは荷物も非常に重く、足枷を着けて歩いていたのもあって、足を痛めていた。
これからは少しペースを落として歩いていくと言う。だからここで少年Hとはお別れだ。

夜、名残惜しくてお互いの部屋を行ったり来たりして色々話した。
それから彼は筆ペンを持っていたので、私はそれを借りて自分の杖に般若心経を書いた。当初買わされた感が強くて、どうも思い入れすることの出来なかった杖に愛着が沸いた。
街灯の無い海沿いのその宿の窓からは、満点の星空が覗いて見えた。


バス停月夜下.jpg
ちょっとお洒落なバス停。月夜というのもありました。





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どうも、焼山寺の後の旅館で一緒だった者です。うちの方は通しではないので昨日帰って来ました。
今回は17までしかまわれなかったけど次は2月にでも再チャレンジしようと思っています。
渡した湿布が役立ってるみたいで、安心しました。また当分暑い日々が続くと思いますので、日焼け止めも役立つでしょう(笑)。 これから室戸岬や足摺岬がまってるかと思うと大変でしょうけど、あの焼山寺を超えたのだから、きっと大丈夫だと思います。 あと、中3の少年に会ったらよろしくとお伝えください。それでは、頑張ってください。陰ながら応援していますし、日記を楽しみにしています。
Posted by 連者 at 2004年10月16日 22:12
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山でまっくらは、やばいので、気をつけてください。
体力的・精神的にはまだまだ元気そうでよかったです。
明日(今日)は大変そうですが、しっかり歩いてください。
なんか、だんだんたくましくなっているようですね。
あっ、息子が起きてしまった。どうしよう。
それでは元気にレッツゴー。
Posted by いけだこういち at 2004年10月16日 23:50
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寝る前に色々話した時、私に言ってくれた少年Hの言葉は今でも胸に残っている。
「私は自分の根性を試したくて歩いてる」と言った時に言ってくれた言葉。

「そう思って実行に移した時点で、根性を試すだけの根性はあるんだよ」



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>連者
早速いらっしゃい!
H君とは今日も宿が一緒でした。
日焼け止め役に立ってます、湿布も使わせていただき、
本当にありがとうございました。もう一人の方にもよろしく。
いつか満願させて下さいね。
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>いけだ先生
まだ大丈夫です。でもこれから日が短くなるのが心配。
歩き遍路は、太陽のあるうちが命なので・・
先生の不思議パワーでなんとかして下さい。なんて。
息子さんも大分大きくなったんだろうな!
今度会えるのはいつかな。
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↓出会いと別れの旅になってきたぜ〜

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posted by いとうあゆみ at 01:23| Comment(4) | TrackBack(0) | 徳島:発心の道場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする